『食の大正・昭和史---志津さんのくらし80年---』 第二十九回
月守 晋
●家庭料理の食材
『趣味と実用の日本料理』(大正14年婦人之友社刊/婦人之友料理叢書第1篇/水町たづ子著)にはどんな食材が使われているだろうか。
<魚介類>
●魚類 タイ(小ダイ)、マグロ、ボラ、サヨリ、コイ、ブリ、サワラ、マイカ、サバ、アジ、キス、スズキ、アナゴ、クロダイ、アユ、マス、サケ、イボダイ、タラ、アマダイ、ヒラメ、ヤリイカ、タコ、ホウボウ、シラウオ、イサキ、カレイ、カツオ、コチ、イワシ、ドジョウ、フナ、カズノコ、タラコ
●貝・甲殻類 サザエ、ウニ、アワビ、クルマエビ、イセエビ、ナマコ、カキ、タイラガイ、トコブシ、ハマグリ、ムキミ(アサリか?)、トリガイ、ミルガイ、シバエビ、カキ、カイバシラ
<野菜類>
●葉物 ホウレンソウ、花ナ、ヨメナ、ツルナ、コマツナ、キャベツ、ミツバ、ネギ、タマネギ、ワケ
ギ、トウナ、ウド
●根菜 ダイコン、ニンジン、ヤマイモ、クワイ、ナガイモ、ショウガ、ゴボウ、カブ、コカブ、ハス、
サトイモ、ヤツガシラ、ジネンジョ、ツクイモ、サツマイモ、タマネギ
●生り物 キュウリ、ナス、カボチャ、ウリ、ユウガオ、エンドウ、エダマメ、トウガン
●山菜・きのこ類 シイタケ、フキ(フキノトウ)、ワラビ、ゼンマイ、ツクシ、タケノコ、ジュンサイ、
キクラゲ、ユリネ、マツタケ、シソ(シソノ実)、タデ、クズ、ミョウガ、ユズ、キク、ダイダイ、皮茸(こう
たけ)、ムカゴ
●乾物 アズキ、(白、黒)ゴマ、ソバ、クズ、クロマメ、コンブ、新粉、ケシノ実、トウガラシ、カンテ
ン、スルメ、ギンナン、干しカズノコ、クルミ、青ノリ、水前寺ノリ、シロインゲン、カツオブシ、松葉コ
ンブ、コウヤドウフ、麻ノ実、ユバ、ソラマメ、ダイズ、ズイキ、アラメ、干しシイタケ、干しアユ、浅草
ノリ、ゴマメ
●半製品 トウフ、コンニャク、アブラアゲ、卯ノ花(オカラ)、カマボコ、焼キフ
●肉類 豚肉、牛肉、鶏肉、小鳥肉、鶏卵、合い鴨、鴨
●果実 柿、栗、りんご
●調味料 塩、砂糖、醤油、みりん、酢、味噌(白味噌、三州味噌、赤味噌、甘味噌)、油(ゴマ
油)、バタ、からし、山椒、七味唐辛子、陳皮、しょうが
●粉物 うどん粉、 葛粉、パン粉
●漬物 たくあん、味噌漬、粕漬、うりの鉄砲漬、早漬(小かぶ、きゅうり、なす、キャベツ)、梅干
し、ぬか漬、らっきょう、しょうが酢漬、奈良漬、紅しょうが
●びん・缶詰 筍の缶詰、グリーンピース缶詰、松たけ缶詰、鯨(くじら)びん詰
●調理用具 七輪、蒸籠(せいろう)、すり鉢、ざる、玉子焼鍋、金網、焼き鍋、フライパン、裏濾
(こ)し網、冷蔵函(ばこ、氷を用いる冷蔵庫)
料理用の火力としてガスが都市の一般家庭でも使われるようになったのは、大正12年の関東大震災後のことといわれる。9月1日午前11時58分という昼食時だったため、昼食を準備していた各家庭のたきぎのかまどや炭を使う七輪が火元となって各所で火災が発生したといわれ、震災後はスイッチをひねればすぐ消せる安全性がかわれてガスコンロ(ガス七輪といった)が普及した。
料金は東京ガスの場合1㎥当たり大正8年に8銭だった。