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ロアルド・ダール
2009年07月09日

18. 「開店大祭り、どの子にもみんな大サービス、キャンディ・チョコレート・プレゼント」

-------  「魔女がいっぱい」 ロアルド・ダール


「処方第86番<時限ネズミニナール>」を発明した大魔女率いる200人の魔女軍団と、魔女たちにつかまって<時限ネズミニナール>を500滴分も飲まされて、ネズミに変えられてしまった少年とその祖母がくり広げる大活劇、それがダールの「魔女がいっぱい」の物語です。

魔女はいつごろからこの世に現れたのか、といえば人間の歴史とともに古い話です。ヨーロッパやアフリカの人々にとって魔女は大昔の祖先以来、身近に存在するものだった。古代アッシリア人やバビロニア人、ゴール人、ケルト人たちにもなじみの存在だったのです。青銅時代(石器時代と鉄器時代の間、青銅器利用はBC3000年ごろメソポタミアで始まったとされる)のデンマークの“魔女の墓”からはさまざまな呪術用具を収めた壺が発見されているといいます。

この時代の人々に魔女がどれほど身近な存在だったかということは、古代ローマの皇帝コンスタンチヌス1世が「病気や自然災害から人間を守る呪術を禁じるつもりはない」と宣言していることからもわかります。

つまり、魔女たちは人間に害を及ぼす呪術だけではなく、人間の為になる呪術を使ってもいると信じられていた、ということです。

魔女、もしくは魔女と見なされた女性たちを大災厄が襲ったのは16世紀を中心とする約1世紀間で、スイスのジュネーブで1513年に3か月間で500人もの“魔女”が焼き殺されたと記録する旅行記もあるそうです。

さて、ロアルド・ダールの『魔女がいっぱい』の魔女は正真正銘の魔女たちで、子供が大嫌いという連中です。200人もの魔女軍団と戦う破目に陥った7歳の少年は、ノルウェー人の両親の間にイギリスで生まれ、クリスマスを過ごすためにお母さんのお母さんを訪ねる旅の途中、自動車事故で両親を失った少年です。

対魔女戦で少年の最大の味方になるのがこのお母さんのお母さん、つまりおばあちゃんで、なかなかの知恵者。この強力な味方と力を合わせて戦うのです。<ネズミニナール>を1滴たらしたチョコバーを他の子供たちに食べさせないために。他の少年少女をネズミに変えさせないために。

ロアルドダールはイギリスの作家で、「キス・キス」など奇妙な味わいの短編小説を書き始めたのは結婚後のことで、『チョコレート工場の秘密』は傑作として世界中の子供たちに読まれています。『魔女がいっぱい』は1983年に発表され、その年のイギリスの児童図書賞を受賞しています。


《参考》 『魔女狩り』 森島恒雄/岩波新書
     『魔女の素顔』 志賀勝/はまの出版
   


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