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食の大正・昭和史 第六十八回
2010年03月17日

『食の大正・昭和史---志津さんのくらし80年---』 第六十八回

                              月守 晋


●志津さんの結婚と婦人雑誌(1)

志津さんが結婚を決心したころ、家庭生活のガイド役をになっていたのが“婦人雑誌”であった。

昭和5(1930)年当時、発行されていた婦人雑誌には次のような雑誌があった。

  誌 名     発行元/発行者     創刊年月

婦人世界     実業之日本社      明39(1906)・1月
婦人之友     羽仁吉一・もと子    明41(1908)・1月
婦人公論     中央公論社       大5 (1916)・1月
主婦之友     石川武美ほか      大6 (1917)・3月
婦人倶楽部    講談社         大9 (1920)・10月
女性改造      改造社          大9 ( 〃 )・10月
家の光      産業組合中央会      大14(1925)・5月
              *「家の光」は家庭雑誌

志津さんの姉たちもよくこうした婦人雑誌を家に持ち帰ってきた。定期購読者ではなかったが本屋に立ち寄って写真ページや記事に興味を引かれると財布の口を開いていたのである。

価格はどの雑誌も50銭。「婦人倶楽部」は創刊時にページ数300ページで80銭だったがページ数はその後増えてゆき400ページを超えている。しかし価格のほうは昭和4年に一挙に50銭に値下げし、昭和9年500ページを超えたところで60銭に値上げされた。

発行部数は関東大震災(大正12年)の前年まで「主婦之友」と「婦女界」の二大雑誌がそれぞれ60万部、第3位の「婦人倶楽部」が40万部だったものが、震災の影響が購買欲にマイナスに働くことを恐れた「婦女界」が20万部減の40万部としたのとは対照的に「婦人倶楽部」は「婦女界」が減らした20万部を上乗せして60万部を発行。以後この逆転した順位が定着してしまった。

各誌とも50銭の普通号と年4回60銭の特別号を発行した。特別号には別冊付録がついた。「主婦之友」には大量の別冊付録がつき、それが欲しくて買うという女性が多かった。

別冊付録は洋服の型紙、料理読本、住まいの工夫といった実用物が中心だった。

志津さんも姉たちが読み終えた雑誌を借りてよく読んだ。吉屋信子の小説になじんだのも姉たちに借りて読んだ婦人雑誌を通してだった。

参考までに志津さんが結婚した昭和6年の「主婦之友」3月号をのぞいてみよう。

表紙絵は髪を七三に分けて結った「耳出し髪」の若婦人の肖像で「耳出し髪」は「耳かくし髪」の変型であるらしい。この髪型は昭和4年ごろから流行しはじめたという(『黒髪と化粧の昭和史』廣澤榮/同時代ライブラリー163/岩波書店)。

この号は「家庭円満方法号」だと目玉となるテーマの刷り込みがあり、「一目でわかる婚礼画報」が折畳式付録でついていた(巻頭にとじ込んであったらしいが、入手した際には無くなっていた)。

結婚の季節が開ける3月号らしく写真を多用した画報には婚姻関連の項目が多い。

   *花嫁の髪の結び方    45分で下梳(す)きから結び上げるまでを20枚の写真と説明文で解説してある
   *花嫁のお化粧    22枚の組写真で解説
   *花嫁衣装の着付    4ページの組写真
   *朝から晩までの花嫁の一日    4ページの組写真

こうした写真入りの解説は結婚を間近にひかえている女性にとっては気休め以上に、手順を前もって知ることができたという安心感を与えるものだったろう。

「家庭円満方法号」と銘打ってあるように、円満な家庭を作るためのアドヴァイスが次のように並んでいる。

   *夫婦円満の方法についての良人(おっと)ばかりの座談会(8人の名士)
   *家庭を円満にするための金言(32名士)
   *一日を仲良く暮らす夫婦円満法(新渡戸稲造)   


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