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星野知子
2010年05月12日

38「引率のおばさんと、シャイでおとなしい少年も一緒にキャラメルやチョコレートを食べると、ギクシャクした雰囲気が次第になごんできた。」
    

   『トイレのない旅』星野知子/講談社文庫

NHKの朝のTV連続ドラマ「なっちゃんの写真館」でデビューした女優星野知子はその後、ドキュメンタリー番組のリポーターとしても活躍しはじめました。そしてその時の旅の出発時から帰国するまでの一部始終を秀抜な文章にまとめて高い世評を受けました。

『トイレのない旅』はそうした1冊で、シカン文明の遺跡を訪ねるペルーへの旅、辺境の少数民族のくらしの現状に触れた中国・雲南省への旅、雁の渡りの研究者を取材したシベリアへの旅それぞれのドキュメントです。

冒頭の一節は1992年にシベリアの大湿原で雁の渡りを共同研究することになった日ソの学者グループの研究現場を取材した時のもの。

この旅は御難つづきでまずハバロフスクの飛行場に迎えに来ているはずのコーディネーターが来ていません。カートがないため40個568kgの機材・食料を全員汗まみれになってバスへ運び込むのに2時間もかかってしまいます。

チェックインに1時間もかかったホテルではぬるく塩辛いボルシチにパサパサのパン、油臭いイクラに固いシシカバブ、みずみずしいキュウリだけが取り柄の食事の10人分の代金5500ルーブル/40ドルに、4倍以上にもなる170ドルを請求される始末です。

朝4時半出発予定の飛行機は13時間遅れでやっと飛び立ち2時間後に中継地のマガダン空港に到着しますが、1時間後に出発予定の次のフライトはまたしても大幅に遅れ実際に出発したのは翌朝7時。

実質4時間のフライトに28時間もかかったわけは、どうやら燃料のガソリンが調達できなかったためらしいとわかります。

さて「引率のおばさんと、シャイでおとなしい少年」は、一行の中の1人がロシア語ができないのにどう意思を通じさせたのか、目的地が同じだと知って、勝手に引率者に選んでしまったという2人で飛行機の出発を待つ間ポケットに入っていたお菓子を分け合って食べたという場面。

おなかに何かを入れることができ、空腹をやりすごすことができれば腹を立ててはいられない、というのはどこの国の人でも同じだというわけです。

さて星野さんはタイトル通りにシベリアの大湿原ではあり合わせの木を4本立て、帆布を壁代わりに釘でうちつけた電話ボックスほどのトイレを使い、中国雲南省の農村ではコンクリートの床に穴をあけただけ、仕切りも屋根もない公衆トイレを経験し、シカン文明遺跡の発掘現場では、人目を気にしなければどこでもトイレにしてもよい、ただし藪蚊を避けることができれば、ということを学んだのでした。


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