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関田淳子
2011年01月05日

『チョコレート人間劇場』

52「コーヒーが一般市民の飲み物であったのに対し、カカオは「高貴なる飲み物」とされた。 ヨーロッパ貴族階級では特に朝食前のベッドで飲まれていたという」
    

   『ハプスブルク家の食卓』
関田淳子/新人物文庫

ヨーロッパの歴史や文化を理解するには、ハプスブルク家の歴史研究が欠かせない、といわれます。

ハプスブルク家は「11世紀の初め、スイスのチューリヒとバーゼル間に位置するブルック近郊のハ―ビヒツブルク城を一族発生の地として誕生した」と本書に解説されていますが西洋人名事典には「始祖のグントラムは950年頃ライン川上流から上シュヴァーベン・エルザスにかけて広大な家領を所有」していたと説明しています。

ともかく本書の記述に従えば「11世紀の初め」から「1918年の滅亡まで、約650年間にわたってヨーロッパに君臨した」のです。

1273年にルドルフ1世がドイツ国王に選出された後、ハプスブルク家は巧みな政略結婚を繰り返して統治する領国を拡大し650年間もの長い間ヨーロッパに君臨したのですがそれには「運と結婚政策だけで」なく「一族の栄華を可能にした一要素に“食”も係わっているのではないだろうか」というのが本書のテーマです。

第1章「皇帝たちの食卓」に始まって第2章「宮廷料理の舞台裏」、第3章「華麗なるウィーン宮廷菓子」、第4章「栄華の象徴―食器と銀器の饗宴」と読み進んでゆくと高校の教科書などでは決して知ることのできないヨーロッパ史の1側面に触れることができます。

ことに興味を惹かれるのは所々にはさまれている思いがけない史的事実、エピソードでしょうか。 以下、いく例か抜き書きしてみましょう。

「テーブルには何種類もの料理が所狭しと並べられているが、これらのなかには、祝宴を豪華に見せることが目的で、実際には食べられない模造品の料理も多かった」(第1章/重視された晩餐会での規則)

「(カール六世)はなかでもビーバー、特に生殖器の部分をレモン汁で、またリスやサギの焼き肉にカリフラワーやイチゴを添えて食べることを好んだ」(第1章/精進料理を守った皇帝)

「(17世紀の東インド会社のオランダ商人たちは)醤油を他の日本製品とともに、ヨーロッパ宮廷に非常な高値で売りつけた。 ……ウィーン宮廷だけではない。 フランス宮廷でも肉の味をひきたてる調味料として非常に珍重された」(第1章/統治力はなくてもグルメな皇帝)

第3章ではウィーン宮廷でデザートに伴された宮廷菓子がどのように豊かな進化をとげていったかがたどられています。

内容の豊かな楽しい1冊です。


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