板チョコの包み紙を1万種類以上もコレクションした人がいる。それも全部、自分で食べた板チョコの包み紙だから驚いてしまう。仮に、毎日1枚ずつ、違った種類の、したがって包み紙の違う板チョコを食べたとして、1万枚=1万種類の板チョコを食べるには27年以上かかる計算だ。もちろん、日本のチョコレート・メーカーの包み紙だけはでない。世界中の国の、有名無名のメーカーの板チョコの包み紙(ラベル)を集めた。
この板チョコ・フリーク(板チョコ狂)の名前は森部一雄moribe kazuoという。職業はお医者さん。幼稚園児のころからチョコレートが大好き。それであだ名がチョコ坊。名古屋の染料問屋の一人息子に生まれた。長じて医者になり、染料問屋を継がなかったのは戦争が始まったためだろう。なにしろ、物資不足で染めようにも肝心の布が無くなっていたころだから。
1928(昭和3)年生まれの森部ドクターご自身の計算によると、5歳から食べ始めたとして68歳までには、1百28万と400g、約1.28トンの板チョコを食べたことになるという。その詳細はつぎのとおりだ。
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・5〜10歳 |
50g/月×12カ月× |
5年= |
3,000g |
・11〜16歳 |
0g/月×12カ月× |
5年= |
0g |
・17〜21歳 |
50g/月×12カ月× |
4年= |
2,400g |
・22〜62歳 |
2500g/月×12カ月× |
40年= |
1,200,000g |
・63〜68歳 |
1250g/月×12カ月× |
5年= |
75,000g |
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合計 |
1,280,400g |
11〜16歳が0gになっているのは、この期間が太平洋戦争の最中だったから。チョコレートどころか、毎日のご飯もろくにたべられなかった時期だ。
同じく17〜21歳の4年間、月に50g、つまり小さい板チョコ1枚しか食べられなか
ったのも、敗戦後でチョコレートの原料が輸入できなくて、国内生産が再開されていなかったからだ。この期間に森部ドクターが食べたのは、占領アメリカ軍の兵隊からもらったか、闇市に流れたものを手に入れたかのどちらかだったろう。
チョコヴィック・ジャパンが輸入販売している板チョコ「オリヘンウニコ」は1枚が80グラムだ。「オリヘンウニコ」を毎日1枚ずつ食べつづけて上記の数字に到達するには、約43年と10か月かかることになる。(以下次回につづく)
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