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ジョルジェ・アマード
2009年09月09日

21. 「8日後には、乾燥台の上のココアは黒くなり
               チョコレートの香りを放った」

------- 「カカオ」 ジョルジェ・アマード
 

『カカオ』の物語の舞台は南米ブラジルのバイーア州です。国都ブラジリアは州境の東端に位置し、旧都リオデジャネイロは南に下った大西洋岸。ブラジリアは1957-60年に建設遷都が行われた高原の人工都市です。

ブラジルの主要産物はごぞんじのコーヒー豆ですが、カカオの産出国としても世界有数でした。カカオは赤道を中心に北緯・南緯いずれも20°以内の高温多湿地帯ならどこでも栽培できます。

この物語が書かれたのは1933年、バルガスという政治家がクーデタを起こして独裁的な大統領に就いてから3年後、ということになります。
この物語を読んでいくとカカオの樹の栽培からカカオの実の収穫、ココアを発酵させる貯蔵庫での仕事、ココア乾燥台での作業など当時のココア生産過程を教えられます。

物語の主人公はジョゼー・コルディロという青年。かつては紡績工場主を父にもつお坊ちゃんでしたが、父の死後、工場を伯父に乗っ取られて農業労働者に落ちぶれた身。故郷のセルジッペ州を捨て、バイーア州イリェウスのカカオ農園、“友愛農場”で働いています。

さてある日、主人公の友人コロディーノの身に思いがけない悲劇が起きます。許嫁(いいなずけ)のマグノーリアが農園主のドラ息子に誘惑され、彼を裏切ったのです。

コロディーノは現場を押さえ、農園主の息子オゾーリオに重傷を負わせます。事態を知って激怒した農園主はコロディーノを殺せと輩下に命じますが、コロディーノは労働者仲間の援助で農園から脱出、リオへ逃亡します。そして逃亡したコロディーノから主人公のもとへ、社会改革運動へ参加するようにと誘う手紙がしきりにとどくのです。

作者ジョルジェ・アマードは1912年、彼の“カカオ作品”の舞台となっているバイーア南部のイリェウスで生まれました。『カカオ』は彼が21歳の時の作品で、処女作『カーニバルの国』(1931)につぐ第2作です。

カカオ農園が舞台となっている作品には他に『果てなき大地』、『イリェウスの聖ジョルジュ』、『大いなる待ち伏せ』などがあり世界的にも高い評価を受けています。実際に彼の作品は40か国語以上の言語で翻訳されており、ノーベル賞文学部門の候補に挙げられたこともありました。

南米やアフリカの文学が多くの国語に移されて読まれ、世界の文学に強い影響を与えてきましたが、アマードの作品はその最たるものといえるでしょう。

2001年、89歳で死去。



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